三畳一間に暮らす、よそものの町によそものがやってきた。

日本全国から多くの日雇い労働者が寄り集まり、 高度経済成長を支えてきたドヤ街・寿町。  戦後、日雇いの仕事を斡旋する「寄せ場」が生まれ、 労働者の寝泊まりする、三畳一間の簡易宿泊所ができたことで、 ドヤ街と呼ばれるようになりました。  戦後の発展の影で翻弄されつづけてきた寿町は、高度経済成長が終わり、 現在では生活保護を受ける老人があつまる「福祉の街」となっています。 足を一歩踏み入れると、「ここは日本なのだろうか」と 疑いたくなるような不思議で異様な雰囲気に包まれます。 寿三畳音まつりでは、柔軟で反射神経の良い一〇組のアーティストが 寿町で滞在制作をし、自由に活動・発表をしていきます。  社会から、歴史から、地域から、一種の【よそもの】として扱われてきた町の人と、 【よそもの】のアーティストが相互に作用しあい起きる反応には、 今までにない新たな芸術・祭りの薫りと予感がにじみ出ているはず。  ずばり、混沌とした寿町を体感しにきませんか?

よそものアート(Concept)

大昔から人間の共同生活は、「祭り」による新陳代謝でハリとツヤを蘇らせ、新鮮な明日を作り出すことで続いてきました。 

祭りの夜、外部からやってくる神に扮する係を、仮面をつけた旅人や乞食、流しの芸能者などが担った地域があったという記録が残っています。

そこでは彼ら【よそもの】が、お祭りの夜の特別感をさらに盛りたてるファクターになっていたのです。

そして現在、「生活」「制作」「移動」が混じり合ったような生き方を選ぶアーティストが目立ってきています。

その活動は、昔の旅芸人や見世物小屋の人たちのライフスタイルと共通点が多く、言うなれば極めて【よそもの】的なものです。 

今日の「地方芸術祭」を、「地方」「芸術」「祭り」と分け、その本質へ再び迫ろうとするとき、【よそもの】的な態度がその現状を打破する突破口になるのではないでしょうか。

この試みは、新しい芸術・祭りへの第一歩であると同時に『人間が他者と生きる』ことへの根源的な問いかけでもあります。

【よそもの】の町で【よそもの】が表現活動をする。あらゆる範囲で非日常をつくりだしていくことで、まったく想像のつかない、寿町の芸術祭は生まれます。

そう、それこそが寿三畳音まつり【よそものアート】なのだ。


注:10/1-8の滞在製作期間は町内各所で作家が活動をしています。内容は状況に応じ変化しますので、Facebookで随時更新される状況をご確認ください。


10/9-10のパフォーマンスと展示期間は受付の者がおります。まずは寿公園にお越し下さい!

そこで寿町周辺地図と、その日、町で行われる活動について、ご案内します。会期中、 アーティストは寿公園を中心に、町内各所で活動を展開します。歩いて回れる小さな町ですので、 目当ての活動の目星をつけて、そこまで観にいってみるもよし、あてどなく歩き、突然の遭遇に身を任せるもよし...。まるで異国のような町の空気を吸い込みながら、町にやってきたよそものたちの振る舞いに、立ち会ってください。

 

注:滞在制作期間中は不定期で町内各所で作家が活動しています。詳細はFacebookで随時更新中。訪問時にはご確認ください。

 

<アクセス>

横浜市中区寿町

寿公園まで:JR 根岸線石川町駅より徒歩7分