参加アーティスト紹介

 〓〓〓 飯島直哉 〓〓〓

去年の夏、私が初めてお会いした時の飯島さんは段ボールをぐちゃぐちゃに丸めて巨大な山をつくりその山を商店街で引きずって運び、電車に乗り込もうとしたり、デパートに突撃したりしていました。謎でした。

わたしは2ヶ月近く飯島さんの活動をみていたはずなのですが、結局謎のまま。あの夏一番の素敵な謎でした。

商店街で一瞬見かけただけ子どもなんかはさらに謎なのだろうなあと思ったり。

彼の中の強い必然性から生み出される意味不明の連続は、まわりを巻き込みながら大きく不思議な空間をつくっていきます。

(野口竜平)

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2004年Bゼミ修了。2015年度より別府、清島ア パート入居。 目隠しをした状態でものをさわったとき、それが何かを想像する。小さなクマのぬいぐるみかと思ったものが、90度かたむけると、人工衛星の模型に思えた。てのひらにのるもので、人の意識を90度かえることができる。それなら、人よりおおきなものでそれを行ったら意識はどのように変わるのか実験します。

 個展に、「A319」(BankART1929・神奈川・2007)、「Whole Lotta Rawham」(綾瀬Studio・神奈川・2008)、「Hangar」(Gallery LE DECO・東京・2010)、など、 グループ展に、第37回Bゼミ展『火星の生活」(BankART1929馬車道・神奈川・2004)、「Wallpapers」(blanclass・神奈川・2010)、「アートマ ンス」(別府市・2015)、「始末をかく」(横浜市・2015)、など。

http://gohyaiijima.com

https://www.youtube.com/watch?v=1DeDJ6zD18w

 


〓〓〓 うらあやか 〓〓〓

拾った角材をおみこし型に組み合わせビスで留めただけの《インスタント・神輿》を複数人で担ぎわっしょいわっしょいする作品や、訪れた人の腕や首にあるホクロを線で繋ぎ星座にし共に名前をつける作品など、彼女の仕事はとにかくとにかくチープで手間がかからず一生懸命さがない。

しかし、そのチープさが逆にコトの本質を浮き彫りにするよう強い効果を発揮していることに気づく。

私の母も彼女に星座を作ってもらった1人であり、一年経った今でも自分の腕のホクロを見ては「あ、長身で細身の腕を伸ばした男座だ。」と呟いている。

日常の中に潜在する角張ったイデオロギーやヒエラルキーに敏感に反応し、それの構造を解体、私的な情感だけを押し付けない形で残していくその方法は、ミニマルアートの手法にも通ずるところがある。

彼女の作品にとって、手の込んだ造形物はむしろ邪魔になってしまうのだ。

異質な他者とのコミュニケーションを主題とする作品は多いが、彼女のそれは場を用意する側(作家)と参加者(鑑賞者)の関係にまで、深く鋭く問いを投げかけるのである。

(野口竜平)

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1992年生まれ、相反する物事(例えば大勢とひとりぼっち、見る側と見られる側、過去と現在等)を反転若しくは攪拌する装置としての作品を目指す。TDW ASIA AWARD(2014)、TERATOTERA(2015)、アート市原秋(2015)、PARTY(2016)他

http://urayaka.jimdo.com

 


〓〓〓 鈴木健太 〓〓〓

注意欠陥多動性障害の症状に悩みつつ、演劇の演出、作曲、グラフィックデザイン、インタラクティブアートの領域で非凡な成果を出し続ける鈴木。

彼の仕事に一貫してあるのは、現代社会で捉えようのなくなってきた『距離と時間』そして『他者とのかかわり』からおこる身体感覚のズレに対し真摯に向き合いつづけるという姿勢である。

いったり来たりを繰り返し、苦悩し、絶望し、敗北しつづけ、しかしそんなときふと一瞬だけ現れる「美しい」と思える瞬間を拾い集めそれをじっくり丁寧に言葉にしていく。そこに妥協はなく、もしたとえ作品にならなかったとしても、愚直なまでに態度だけはかわらない。

彼の代表的な作品に「うみなり」という劇がある。作・演出をつとめたそうだが。

誰もが感じているような、しかしそれを言葉になどとは一度も考えた事がないような感覚を、言葉ではなく体験として鑑賞者ひとりひとりに送り届けるものであった。

あの時の私のオリジナルな感覚は、主催者側(鈴木健太)が緻密に設計しそうなるように作られていたのではないかと思う事がある。

言葉にならない感覚を、デザインする。それは『時間と距離』『他者とのかかわり』への執念から生まれた、彼なりの一つの突破口なのかもしれない。

(野口竜平)

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1993年うまれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。美学校実作講座「演劇 似て非なるもの」二期修了。デザインや演劇の制作。

単独公演『うみなり』坂藤加菜と共作・演出・出演@神保町視聴室(2016)、美学校講座内夏期講演『ちかちかのこと』作・演出(2016)他

 


〓〓〓 野口竜平 〓〓〓

今まで出会ったなかでも断トツ野口はよそものだと思う。理由のひとつに、世にある暗黙のルールや仕来たりにすごい勢いで突っ込んでいき、その場の空気を一瞬で変えていく。驚きと衝撃によって

安定しているその場はぐらつく。だけれども、野口のよそもの感に触れた人は驚きと同時に未知の感覚とか新しい何かとか、希望を見出だすのだ。

野口の作品にリヤカーを東京から香川まで引っ張っていくものがある。共に引っ張る仲間として、私は間近で野口を見ていた。

野口は世の中の、統一された目に見えない何かに立ち向かって対面することで、自身も変化をし続けているように見えた。確かにその姿は美しかったのだ。

野口はこれからもよそものとしてどこかへ流れていくだろう。

(長崎リサ)

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1992年うまれ、武蔵野美術大学卒。[距離と時間に対する人間の憧れ][マレビトとハレと芸術の同時空間性]をテーマに、【ニューヨーク方面へヒッチハイク】【タイヤを1ヶ月引っ張りつづける】【東京から香川まで改造リアカーを引っ張って歩く(お金を持たず出発☆2016】などポップな活動をしている。

 


〓〓〓 皆藤 将 〓〓〓

私が始めて皆藤さんにあったのは、茨城のアーティストランスペースで展示をしたとき。

初対面だったが私の作品をおもしろがってくれ、『きみは夏に別府に行ってみれば?きっとあうとおもう』といってくれた。

そのとおり別府のアートイベントに参加することにし、そこでこれからの指標になるような尊敬できる先輩や仲間とたくさんあうことができた。何を隠そうこの企画もそこから繋がりに繋がり至ったものである。

まだ卒業したてで、今後どのように活動していけばいいか右も左も分からないときに、皆藤さんと出会えたことは非常におおきいことであったとおもう。

その後も美学校で開催される面白いイベントや、私に会いそうな企画などがあったら教えてくれている。皆藤さんがつくる料理も大好きだしとにかく感謝している。

きっとそのように皆藤さんがつなげた人はたくさんいるはずだ。

寿には毎晩きてくれ、お酒をのんだりはなしたり。朝ご飯もつくってくれるでとても楽しい!だいぶ俯瞰して寿町を語るのもおもしろい。

展示はもうビシッと決まっているらしく、さすが【新・方法】のメンバー。

どんなものなのだろう、非常にたのしみ

(野口竜平)

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新・方法主義者、アーティスト。1984年東京都生。2008年上智大学卒業。美学校卒業。2004年よりアーティスト活動を開始。2012年に中ザワヒデキの「新・方法」脱退に伴い、「新・方法」に加入。以降、新・方法主義者としても活動、作品制作の他、パフォーマンスも行う。美学校の運営スタッフでもある。

 

〓〓〓 上原彩 〓〓〓

武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業後、東京芸大メディア映像学科に所属中の彼女。

その輝かしい経歴に反して、眠り続けてしまうという癖をもっていて眉毛がないことも相まり社会生活を送るのに難儀している。

「丸々2日間眠ってたりすることが普通にある」「夢の方がリアルに感じてしまう」等々、眠りに関する言説には事欠かないのだが

私がなにより面白いと思ったのは、彼女が「オシャレは武装」といっていたことである。

彼女は自宅にたくさんの服や布や飾りを集めて置いてあり、それを自由自在に組み合わせ、時に毒々しく、時にエキセントリックに外へ出てくる。

そしてやはり彼女のいる空間は、パッと明るく特別な雰囲気が漂う。

武装というのは、「内」「外」を明確に分ける姿勢であり、家の外はすべて戦場という意識の現れでもある。

もしかすると眠りつづける彼女にとって、起きていることが特別なことであり外に出ている間のすべてがハレの日なのかもしれない。

お祭りでヤクザが背中の入れ墨をぱあとみせて、ぎょっとしつつも周りが高揚していくように、

彼女の存在はきわめてよそもの的なのである。

(野口竜平)

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1991年佐賀県生まれ。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業、東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻在学中。映像の反復と一回性をテーマに空間とそこにある身体が影響を及ぼす映像インスタレーション作品や身体を一つのメディアと捉えたパフォーマンス、映像作品を制作。

 


〓〓〓 岡田直樹 〓〓〓

おどり、いしひろい、絵、あみのも、髪の毛育て、など彼の活動またその副産物に触れると、生まれたときから備わっていたのであろうスーーっと透き通ったなにかが体の心から滲みあがり、それに包まれるような感覚になる時がある。

言葉にしてしまえば、「素の微かなあたたかみ」とかかなあ、

しかしそれは巷の「自然志向」や「ラブ&ピース」などといった生易しいものでななく、痛々しい程に研ぎ澄まされた彼の肉体と精神から、生まれるべくして生まれてきたものなのであろう。

それを美術作品というには、取り逃がしてしまうものが多すぎる。

仙人の様に環境に身を委ね、ずっと瞑想してたかと思えば突然ぴょんと跳ねだしたりする彼は、

生の生が交錯する町・寿町でなにに反応しどんな動きをするのだろうか。

そして町は、彼を受け入れるのだろうか、拒絶するのだろうか。

それとも・・・

(野口竜平)

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群馬県生まれ。田んぼの端の団地で育ち、芸術を志す。大学はデザイン科に入るも、入学早々身体表現に出会い、傾倒する。デザインもそこそこに4年間のほとんどの時間を踊りに費やし、その間気まぐれで服づくりや石ひろいにも精を出すこととなった。過剰な造形をせずに、生じた動機から生まれる分だけのびやかに表現する方法を模索中である。

 


〓〓〓 このよのはる 〓〓〓 

渋谷のマークシティ横の三井住友銀行の前で行われる長崎リサの路上ライブは熱い。彼女がやってくると途端に、ショーウィンドウは色とりどりのビニールや絵で埋め尽くされ、彼女のステージは渋谷の明るさに劣らずキラキラとしている。弾き語りや似顔絵屋、イケてるゴミを街からピックアップして売る、室内外を使ったインスタレーションなど全てが詰まった路上ライブは必見である。

路上で知り合ったという謎多きドラマーとユニット「このよのはる」を結成後、サバイバル精神にいよいよ拍車がかかり、日々路上の稼ぎだけでご飯を食べ、なんと渋谷のビルの屋上でダンボールを敷いて寝ているらしい。「このよのはる」というユニットは生活することそのものがパフォーマンスになってしまうのだ。

そして、持ち前のフットワークの軽さと一度聴いたら耳から離れないような音楽ライブで「このよのはる」の活動は今や渋谷を越えて、ニューヨークや愛媛の三津浜にまで及ぶ。彼らは素朴に、普段やっていることを持っていくと言う。彼らの飽くなきサバイバル精神とその知られざる普段の「生活」が寿町でどのように明かされていくのか。

(平野さりあ)

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路上で似顔絵を描くこと、作った曲を演奏し踊ったりすることをパフォーマンスとして毎日続けている。主に渋谷にいる。その場に住み着く妖怪になるのが多分得意。空間が大好き。見えないものは信じないタイプ。

 


〓〓〓 サワノフロムヘル 〓〓〓

武蔵野美術大学油絵科中退。在学中に、卒業を目前にした、冴え美大男子5人追った青春群像ドキュメンタリー、「夢と希望」を監督。https://youtu.be/EwsNaDjgDB0

(1-5まであります)淡々とカメラをまわしながらもにじみ出るエモさで、いまなおじわじわと語り継がれつづけている。現在は、バンドのライブ映像や、パフォーマンスの記録を撮影。最近は徐々にフロムヘルフィルターが発達して、単なる記録を越えつつある。撮影を忘れがちなアーティストからは絶大な信頼を得ている。

地獄のサワノは寿でなにを体験し、なにを撮るのか!

(濱田明李)

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埼玉県出身、1990年7月14日生まれ、武蔵野美術大学油絵学科中退。ラーメン屋でバイトをしながらドキュメンタリーやミュージックビデオなど、映像制作をしています。主な作品 幸子ドキュメンタリー『夢と希望』(2013) BOMBORI『performing "PRAYGROUND`(full set)』(2016)

 


〓〓〓 ひらのさりあ 〓〓〓

武蔵野美術大学4年生。愛称はさりー。

身体表現、映像、美術、路上で発表をつづけており、抜群のセンスで各領域で存在感を強めている。

最近のパフォーマンス作品に【サンダルの内側にガムがついたこと、母子(球)との接着面でおきたミルトン】というものがある。個人的な身体感覚(サンダルの内側にくっついたガムの気持ち悪さ、)を他者に伝える伝えるためのパフォーマンスを3日間続けるというコンセプトだったが、その通りグチョっとするような変な感覚になりつつも見入ってしまう作品だった。

そこには空間・時間・音に対する美的感覚、3日間同じ行為を続けるために必要なルールづくり、プロジェクーの映像と身体行為が同時進行する状況での意味の相関性等、そこから生じうる事象すべてに彼女の必然性を持たせる為の工夫がなされているように感じた。

それは到底、理詰めで到達できるようなものではなく、複数の領域で活動を続けることで培ってきたものを高いレベルで融合させた結果であろう。つねに全力で当たって砕けろな彼女、持ち前の爆発力に加え最近は感覚の言語化にも熱意をもっていおり、今後どうなっていくのか全く想像がつかない。

(野口竜平)

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1994年愛知県生まれ。「遊びは本気で」をモットーに友人と大学内にラジオブースのあるギャラリーを作る、ニューデートTシャツを着てヒッチハイクをしながら新感覚なデートを追求する旅に出るなどに加え、中野駅前広場で「似顔絵ガールズユニット」として出没するなどユニークな活動をしている。また個人的な身体感覚を映像作品に転換し、その映像から二時創作的に「踊り」「行為」を超えた身体表現を生み出す手法で、身体における「感覚」と「表現」の新たな可能性を追求している。